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執筆者の写真info51689

打掛用レインコートの製作依頼





こんにちは

今回のテーマは、透明な和装用レインコートご依頼のあれこれです

ちょっとマニアックですが、興味のある方は、どうぞ

過去の別注ご依頼の難易度ベスト5にランクインするのでは、無いかと思われる程

いろんな意味で試行錯誤のお仕事でした。

ドレスとは、関係ない和装のジャンルですが、神社関係の衣装室様からのご依頼で、

雨の日、打掛をお召しになってて境内を移動するときに道行コートなるものを

羽織られるそうですが、市販のものは生地が不透明ですぐに黒ずみ、サイズもワンサイズ

せっかくの美しい着物が見えないとのことでご相談いただきました。

まずは、資材さがし

透明のレインコート? あるようでない 

ビニール傘? 弱くてネバネバしそう 

ドレスカバー? 丸めるとすぐにシワになる

ネットで調べてもいOPP CPP PP う~んわからん

PVC(ポリ塩化ビニール)これがなんとなくよさそう

今までの経験から触れば大体行けそうかそうでないかがわかるのですが、文章を読んでも

全く判断不可能で

当たりを付けたPVCを探すことに

日頃取引のある生地屋さんにはまったくサンプルはなくドレスカバーやさんにビニールの説明を聞きサンプルを取り寄せるのと、ホームセンターや小売店でビニール製品を見て歩き、触ってみて

やっと、5種類ほどに絞り込みました、

PVCは、同じでも防水加工(汚れが着きにくいために)

防菌加工 静電気防止、粘つき防止いろんな加工が増えるにつれて価格もアップしていきます。

でもすべて必要だったので一番いいものをチョイス!

後大切な厚み1.5mmと2mmで大きな違いが

厚みがある方が丈夫なのは当然ですが重いし、畳みにくい

縫うのが大変そう

50cmほどのサンプルでは、わからないので

実際に両方で試作することに

サンプルパターン作成

パターンは、これまた知らない打掛なので一応サンプルは、お借りしてそれと生地幅を比べながら

サンプルパターンを作成、

着物を知ってらっしゃる方は、当然よとお思いでしょうが、パターンにして初めて、

直線ばっかりやん 反物幅にすべて入るようになってる

縫製

実際に縫えるかどうかここからが大変でした

くっついてミシンにかかるかとの心配は、意外と簡単にクリアできましたが

問題①は、縫い直しができない、生地と違い穴が残る

  ②何回も同じところを縫えない 切れてしまう

  ③糸目が丸見え せっかくの透明が糸だけ浮き上がる

  ④縫い代が糸と同じく 表から丸見え

  ⑤縫った後表に返すことが非常に困難 

  ⑥アイロンが掛けられない 縫い目が浮く

このことから縫い目は少なく

裁断は、はさみではなくカッターで

糸は、透明糸

ミシンは、精神統一真っすぐに

最終的に4着試作しました

試着していただきやはり厚みのある方で決定です。

あとは、大きな修正もなく ほっと一息(縫製スッタフも喜んでくれました)



感想

ドレスもシンプルな物ほど縫製がむつかしいものですが、

今回の透明であるが故の困難さが、いっぱいありました

生地の裏表がわからないので、左右どちらを縫っているのか分からなくなったり大変でした。

まだまだ改良の余地がある気もします

素材の性質上、温度により硬くなってしまう事など

簡単なように見えるもの程むつかしいです。

オーダーしてくださったお客様の視点も勉強になりました。

晴れの日が、雨であっても、打掛姿を美しく見せてあげたい

業界に無ければ作ってでも夢を叶えて差し上げる

見習わなければ

素材さがしの工程から縫製のフィニッシュまでドレスでは、決して経験することの無い経験でした。

新しい方法を探して試行錯誤するその時間が、私にとって楽しくかけがえのない時間に思えるのです。


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